11月25日は女性に対する暴力撤廃の国際デー
ぶつかりと呼べる範囲をかるがると越えてただしく届く憎悪は
(「アルカディアでの暮らしは」より)
矢が刺さり痛いと叫ぶのに千年かかって今夜喉ふるえだす
(「春の雪山」より)
性欲を三大欲求にかぞえて許せ許せの合唱はなお
(「春の雪山」より)
正常の名のもとに押し広げられつららのごとき冷えた陰毛
(「春の雪山」より)
夜用のプレイリストを夜に聴く夢は捨てずにいまのところは
(「春の雪山」より)
幸せそうに見えないように小田急に乗せられている数多のいのち
(「しふくの時」より)
一行の誰もさわれぬ詩になって透明なまま駅に立ちたい
(「しふくの時」より)
(2024.11)